産業保健コラム

高田 志郎


所属:(一財)京都工場保健会 顧問

専門分野:健康、安全、環境の分野

小学生の見守り(ルールを守り生命を大切に)

2023年10月2日

 まだ在職中のことですが、たまたま近くの小学校に通う児童たちと大通りの交差点で鉢合わせになりました。信号が変わり小学生が渡り始めると、横断歩道は大混雑の状態で、特に自転車とかバイクはルールを守らず、時には自動車さえも我先にと走ります。児童たちはそれらの隙間を縫って通り抜けている状態でした。折しも、小学生の通学時の痛ましい事故が報道されている最中でもありました。これは見過ごすことはできないと思い、退職後のやるべきこと(地域への貢献・これまでの罪滅ぼし)のひとつに、この横断指導を加えることにしました。ところが、変なおじいさんが毎朝交差点に立つことで、逆に児童たちに恐怖心を与えるのではないかと思い、小学校の校長先生の許可をもらい、また教育委員会と所轄の警察署へも報告した上で、やっと実現の運びとなりました。にもかかわらず、一方で、交通指導員が幼児に暴行したという報道があり、信用を得るまでは長い道のりを感じざるを得ませんでした。心配した通り、急に変なおじいさんが交差点に立っているということで、多くの児童は、私の立っている場所を避けて、できるだけ離れたところを渡っていました。

 

 それでも、数年が経過すると、やっと市民権が得られた感じで、児童たちはもちろん、一般の通行人からもあいさつと激励の声が聞かれるようになりました。小学校でも、「あいさつ日本一」の幟を立て、全校生が大きな声で「おはようございます」とあいさつを交わしています。私もこの間、2度の脳梗塞を体験しましたが、仕事等の日を除いて、毎朝「いってらっしゃい。」と送り出しています。最近になって、PTAからも応援をいただいて複数のメンバーで対応できるようになりました。このように、私の罪滅ぼしからスタートした横断指導も、かなり地域の活動として広く根を張り、小学生を含め、多くの方々が挨拶を交わし、コミュニケーションを活発にすることにより、畑違いかも知れませんが、産業保健活動の一助となることを願っています。

高田 志郎