産業保健コラム

埜村 順子


所属:株式会社ウェル・カム 代表

専門分野:正看護師・精神保健福祉士・産業カウンセラー・第一種衛生管理者・介護支援専門員

コロナ禍での両立支援

2021年2月1日

 京都にも緊急事態宣言が発令され、コロナの収束が見えない状況が続いています。「病気の治療と仕事の両立支援」事業はがん拠点病院を中心に相談窓口が開設され、相談件数は増えています。昨年2月には丹後医療圏にも随時相談窓口が開設でき、南丹医療圏や山城南医療圏へも開設を計画中です。対面の相談はなるべく避け、電話やメールを中心に、コロナ対策を実施しながら進めています。

 

 ある会合で「コロナ禍での職業生活の両立支援」はどうすればよいのですかと聞かれました。両立支援で対応している治療は今までの医療の中でいろいろなエビデンスがあり、治療方法や経緯を予測できることも多いですが、コロナとなると予防・治療方法・経過・予後など手探りの事ばかりです。両立支援のマニュアルを厚生労働省が出したときは、もちろんコロナは想定外でした。

 

 さあどのように考えていけばよいのでしょうか?

 企業の置かれている状況はコロナ前とは大きく変わっています。在宅勤務が推奨されているとはいえ、在宅ではできない仕事もたくさんあります。自社の状況はあまり変わらなくても、取引先の状況の変化に働き方を再考しなくてはいけない企業もたくさんあるでしょう。コロナ以外の疾患の治療も継続されていますが、コロナ対策のために、ルーチンのスケジュール通りではいかないケースや濃厚接触者の認定等でスムーズには治療がすすまないケースも見られます。がんの化学療法をとっても、スケジュール調整が難しくなり、仕事への影響が出てきているという話をお聞きすることもあります。

 

 さてどのように両立支援をしていけばよいのでしょうか?。

 今まで以上に個別性を大切にした支援が必要になってきます。企業体力も企業情勢も刻々と変わります。こんな時だからこそ基本を大切にして対応したいと考えます。まさにコロナと共存しながらの職業生活との両立支援が求められていると考えます。

埜村 順子