産業保健コラム

加藤 ゆみ


所属:オフィス カーム

専門分野:産業カウンセリング・キャリアコンサルティング

涙のメカニズムと効用

2021年3月1日

 コロナ禍でこれまでのようにストレスの発散ができなくなり、知らず知らずストレス過多になっている方が増えています。今回は涙のメカニズムと効用についてお伝えします。愛する人やペットと別れるとき、怒りや悔しさがこみ上げたとき、人は様々なシーンで涙を流します。思いっきり泣くとスッキリして気持ちが楽になった、そんな経験はありませんか?自分の中に抱えていた悲しみや苦しみといった感情を、涙を通して放出させることでカタルシス効果が得られ、ストレスの発散に繋がります。

 

 ところが人は悲しいときや傷ついたとき、素直に感情を出さず無理をして抑えてしまうことがよくあります。例えば「辛いのは自分だけじゃない、こんなことで泣き言を言っていてはだめだ!」とか、「自分が泣いてしまうと、周りを心配させてしまう」など。そのような状況が続くと、ストレスはどんどん溜まってしまいます。そんなときは、ぬるめのお風呂にゆったり浸かって、上半身の力を抜き、深い呼吸を繰り返して心身をリラックスさせてみましょう。そして「よく耐えてがんばったな」とか、「本当は周りに気持ちを分かってもらいたかったなぁ」など、自分の気持ちを振り返って解放してあげると、自然に涙が溢れて気持ちが楽になるかもしれません。また自分の置かれた状況や体験と重なる映像や本を読むのも一つの方法です。他者の体験を通して、自分が押し殺していた感情を表出し涙を流すことで、ストレスが軽くなります。

 

 泣きたくても泣けないときは、自然と涙を誘う映画や絵本・音楽を用意して、一人で安心できる空間で、思いっきり声をあげて泣くのもいいと思います。少年と愛犬の別れを描いた絵本「ずーっとずっとだいすきだよ」(ハンス・ウィルヘルム作)は、そんな時にお勧めの1冊です!いつ読んでも胸が熱くなり涙がこみ上げてきます。泣きたくても泣けないとき、よければ試してみてください。

加藤 ゆみ